腋窩に1cmの切開線を加え、特殊なワキガ治療用カニューラを挿入し、ワキガの原因となるアポクリン腺汗腺を取り除きます。両側で40分ほどの手術になります。臭いの程度が軽い方に適応になります。
腋窩に2cmの切開を加え、腋毛部のエクリン汗腺、アポクリン汗腺をくまなく切除します。これにより臭いのみではなく、多汗症にも劇的な効果があり、女性の場合は永久脱毛効果が同時に得られます。両側で2時間の手術です。術後1週間、脇の下にガーゼを当てて圧迫する必要があります。
反転法の詳細
仰臥位で上肢を90度外転位、肘関節90度屈曲位とし、肩甲骨下に枕を入れ軽度挙上します。
術前に剃毛しておいた腋窩に、腋毛の範囲より1cm外側で楕円形にマーキングします。その後、腋窩中央部のしわに沿って2cmの切開線を描きます。
20万倍エピネフリン加0,5%キシロカインにて局所麻酔を施行します。一側あたり30ml、両側合計60mlを、皮膚から約5mmの深さに注射します。
切開線に沿って浅筋膜上まで切開を加えます。そののちこの浅筋膜層のレイヤーにて腋窩皮膚全体を剪刀で剥離します。このレイヤーで剥離すれば、真皮直下の脂肪織上層に存在するアポクリン汗腺を、皮弁側 につけたまま挙上することができます。
スキンフックを用いて皮弁を愛護的に反転し、アポクリン汗腺の存在する脂肪織、およびエクリン汗腺の存在する真皮中・深層を直視下に剪除します。アポクリン汗腺は濃赤色のやや硬い実質性組織として観察 できるので、これを全て除去します。
止血を確認し、生理食塩水で内部をよく洗浄します。
5-0ナイロンで皮下縫合、6-0ナイロンで皮膚縫合したのち、血腫予防の目的でペンローズドレーンを縫合部より挿入します。
ガーゼ、バンデージで圧迫固定し、手術を終了します。
翌日ドレーン抜去し、1週間後に抜糸します。抜糸後より肩、上肢の運動制限解除、ROM運動をお勧めします。
術後数ヶ月は一過性のひきつれ感、拘縮を生じますが、6ヶ月ほどで瘢痕はほとんど目立たなくなります。男性症例では脱毛が気になる場合があります。
縦型紡錘型切除:腋窩の長軸に沿って縦に腋窩全体を切除する方法です。根治性はありますが、瘢痕拘縮の危険性が高くなります。歴史的方法です。
縦型紡錘形切除+Z形成術:①の方法にZ形成を追加し、拘縮を回避する方法。
横型紡錘形切除:腋窩のしわの方向に沿って腋窩皮膚を横向きに切除する方法。部分切除にとどまり効果は不十分です。
S状切除:横型切除の切開線をS字にしたもの。
Skoog法:変形の十字切開を加えて腋窩皮膚を皮弁状に挙上し、汗腺組織を除去する方法。手技が易しく効果は高いです、瘢痕が目立ちます。
脂肪吸引法:当院のマイクロリゼクション法がこれにあたります。切開線が小さく目立たない利点があります。