術前デザイン
インプラントの際とまったく同様に、術前に患者が坐位の状態で移植片の理想的な挿入位置をマーキングする。鼻根部のスターティングポイントは、正面で開瞼した状態で左右の睫毛を結んだ線上を基本とします。尾側は皮膚の厚い鼻尖部をエンドポイント(終点)とします。
麻酔法
最低でも2時間以上はかかるため、静脈麻酔を選択します。
移植材料の採取
浅側頭筋膜と耳甲介軟骨(両側)を採取します。
(1)浅側頭筋膜
側頭毛髪内でV型切開で浅側頭筋膜を露出し、筋膜の全長は35~40mm、幅20mmで採取します。
(2)耳甲介軟骨
希望する鼻の高さにもよりますが、鼻尖形成を同時に行うことも多く、余裕を持って両側耳介から採取する。
移植片細工
軟骨を15番メスを用いて細かく1~2mm大に切り刻む。
1cc注射シリンジの先端を切断して、この切り刻んだ軟骨(通常0.7~1.0ccを目安)を隙間無くシリンジに詰める。
次に側頭筋膜をこのシリンジに筒状に巻きつけて5-0PDSで筋膜の断端同士を縫合する。その後シリンジを加圧しながら細片軟骨をこの筋膜に充填し、シリンジを抜き取って全周に縫合することにより細片軟骨は漏出することはなく、袋状に筋膜に包まれることになる。
切開、アプローチ
左右均等な剥離を行うため、片側だけでなく左右両側のIC incisionアプローチないしはIF incisionを用いている。
剥離
移植片を挿入する剥離腔の作成ですが、剥離層として鼻根は骨膜直上、鼻背では軟骨膜上を基本とします。
移植片挿入
移植片を皮膚上に置いて、長さ、厚みなど細部にチェックしてフィッティングを慎重に行います。
下は実際の手術中の写真です。
移植片の上下両端にpull-out用に7-0黒ナイロンを通しておき、直針を用いて鼻孔縁の切開創からこの糸を皮膚側の予定位置に抜いていき、移植片の位置がずれないように皮膚側にテープで固定します。
外固定
術後の外固定は、皮膚上に正中に沿って左右に濡れ綿で移植片の偏位を押さえ込むように、スキントーンテープ(肌色)で固定します。